先日、事務所のインターネット回線をフレッツ光クロス環境へ移行しました。
回線速度そのものは問題なく、インターネット接続も無事に復旧しました。ところが、そのあとにハマったことがありました。
それが、固定IPを使った社内サーバへの外部接続です。
当社では、社内でFileMaker ServerやSynology NASを利用しています。外出先からFileMakerに接続したり、Synology Driveでファイル同期を行ったりするため、固定IPとドメインを使って外部からアクセスできるようにしていました。
DS-LiteとIPIPを混同していた
今回いちばんハマったのは、ここだったと思います。
フレッツ光クロス移行後、ルーター側ではIPv4 over IPv6の設定を行います。そこで最初は、通常のインターネット接続としてDS-Liteの設定を追っていました。
実際、DS-Liteでインターネットには出られます。IPv6も問題なく使えます。見た目としては「つながっている」状態です。
ただ、固定IPを使って外部から社内サーバへ入る場合、今回必要だったのはDS-Liteではありませんでした。
必要だったのは、固定IPサービス用のIPIP接続でした。
ここを理解するまで、少し遠回りしました。
ざっくり整理すると、今回の自分の理解ではこうです。
DS-Lite
→ 通常のIPv4通信に使う
→ 外向き通信はできる
→ 固定IPでの外部公開には向かないIPIP
→ 固定IPサービス側で使う
→ 外部から固定IP宛にアクセスするために必要以前は、固定IPの情報がプロバイダからそのまま送られてきて、それをルーターに設定する感覚でした。そのため、今回も同じように考えてしまいました。
しかし今回は、固定IPそのものを直接設定するというより、ルーターが固定IP用の接続情報を取得するための認証情報が必要でした。
プロバイダの管理画面に、自動設定取得ID と 自動設定取得パスワード が表示されていました。
これを見落としていたため、最初はルーター側で国内標準プロビジョニング方式を使っても、うまく固定IP側の接続が確立できませんでした。
RTX830側では「ユーザー認証あり」にする必要があった
RTX830側では、IPv4 over IPv6トンネルの設定で、国内標準プロビジョニング方式を使います。
ここで最初は、ユーザー認証を使用しない設定にしていました。
通常のDS-Lite接続であれば、それでも動く場合があります。しかし、今回の固定IPサービスでは、プロバイダ管理画面に表示されていた自動設定取得IDとパスワードを使う必要がありました。
そのため、最終的には以下のような考え方になりました。
IPv4 over IPv6トンネル:使用する
国内標準プロビジョニング方式:使用する
ユーザー認証:使用する
自動設定取得ID:プロバイダ管理画面の値
自動設定取得パスワード:プロバイダ管理画面の値この設定にしたところ、ようやく固定IP側の接続が確立しました。
ここまで来るのに、DS-Lite側を疑ったり、XG-100NE側の設定を確認したり、RTX830のトンネル状態を見たりと、かなり遠回りしました。
実はこの設定に辿り着くまで。平日午後の3時間、まるまるネットが繋りませんでした。復旧の見込みも手探りだったので、かなり焦りました。繋がった時にはホッとしましたし、どっと疲れました。
ルーター側の設定も、接続経路に合わせる必要がある
もうひとつハマったのが、ルーター側のNAT設定です。
外部からFileMaker Serverへ接続する場合、FileMakerでは通常 TCP 5003 を使います。
そのため、ルーターで以下のように転送する設定が必要です。
外部 TCP 5003
↓
社内のFileMaker Serverただし、今回のようにIPv4 over IPv6や固定IP用のトンネルが複数ある環境では、どのNAT設定にポート転送を追加するかが重要でした。
最初は別のNAT設定に追加していたため、設定自体は正しく見えていても、実際の固定IP経路には効いていませんでした。
最終的には、固定IP側のNAT設定に対して、
TCP 5003 → FileMaker Serverを追加することで、外部からFileMaker Goで接続できるようになりました。
Synology Driveも同じ考え方で解決
同じ考え方で、Synology NASの外部接続も見直しました。
Synology Driveの同期に使うポートは TCP 6690 です。
そのため、固定IP側のNAT設定に、
TCP 6690 → Synology NASを追加したところ、こちらも無事に外部から接続できるようになりました。
DSMの管理画面を外部公開する方法もありますが、セキュリティ面を考えると、必要なポートだけを開ける方が安全です。
今回はSynology Driveの利用が目的だったため、まずは 6690 のみを開ける形にしました。
今回の教訓
今回の教訓は、かなりはっきりしています。
固定IPサービスを追加した場合、通常のIPv4 over IPv6接続と固定IP用の接続を分けて考える必要がある。
特に、DS-Liteでインターネットに出られているからといって、固定IPで外部公開できるとは限りません。
また、ルーター側のNAT設定も、固定IP側の接続経路に対して設定しないと意味がありません。
今回のポイントをまとめると、以下のようになります。
通常のインターネット接続確認だけでは不十分
固定IPサービスではIPIP側の接続情報を確認する
自動設定取得IDとパスワードを見落とさない
ルーターのNAT設定は固定IP側の経路に追加する
FileMakerは TCP 5003
Synology Driveは TCP 6690以前は固定IP情報がわかりやすく提供されていたため、今回もその感覚で進めてしまいました。
しかし、フレッツ光クロスやIPv4 over IPv6の環境では、接続方式によって見るべき設定が変わります。
「インターネットには出られるのに、固定IPで外から入れない」という状態になったら、まずはDS-LiteとIPIPを分けて考えるのがよさそうです。
今回はかなりハマりましたが、そのぶん次に同じような環境を設定するときには、かなり落ち着いて対応できそうです。
投稿がお役に立ちましたら、いいねをしていただけると嬉しいです。
お困りごとをお聞かせください。
お困りごと、ご相談など。お気軽にお問い合わせください。
頂いた内容については、3営業日以内の返信を心がけております。
お困りごとに対して、事例やアイディアを持って返信を心がけております。
小さなことから、お気になさらずお気軽にご相談ください。
投稿がお役に立ちましたら、いいねをしていただけると嬉しいです。
その他の技術一覧
-
技術
フレッツ光クロス移行後、固定IPと外部公開でハマった話
先日、事務所のインターネット回線をフレッツ光クロス環境へ移行しました。回線速度そのものは問題なく、インターネット接続も無事に復旧しました。ところが、そのあとにハマったことがありました。それが、固定I...
続きを読む
-
技術
最近Codexで行っていること
今週はちょっと毛色を変えて、最近Codexで行っていることをご紹介したいと思います。使ってます。Codex当社はChatGPTをProプランにして、あわせてCodexを利用しています。 複数のAIを使い分けていないわけではな...
続きを読む
-
a-blog cms
AIで多言語サイト運用を効率化するa-blog cms拡張アプリ「エントリー翻訳」を開発しました
株式会社データファームでは、a-blog cmsの運用をよりスムーズにするため、管理画面での入力や更新作業を支援する拡張アプリの開発を進めています。その一環として今回、AIを活用して翻訳エントリーを簡単に作成...
続きを読む
-
a-blog cms
AIとの対話で、サイト構築の土台を一気に作る。a-blog cms拡張アプリ「DF-サイト構築」のご紹介
Webサイトを作るとき、最初に悩むのが「どんなページを用意するか」「どのような構成にするか」というサイト設計です。a-blog cmsをインストールした後、管理画面を開いても、いきなりページやカテゴリーを作り始...
続きを読む
-
FileMaker
FileMaker の自習室にて「Claris Connect を使って Outlook 経由でスクリプトを実行する(Claris FileMaker - 10分でスキルアップ)」が公開されました
動画内のサンプルがダウンロードできます。 ダウンロードはこちらから この動画のこぼれ話Claris Connect自体を私も十分に使いこなせているとは言えないので、自身の勉強も兼ねながらの動画作成となりました。Out...
続きを読む
-
FileMaker
FileMaker の自習室にて「Claris Connect を使って Chatwork に新着状況・タスク追加を実行する(Claris FileMaker - 10分でスキルアップ)」が公開されました
動画内のサンプルがダウンロードできます。 ダウンロードはこちらから この動画のこぼれ話Claris ConnectからChatWorkへの連動は、Claris Connectがリリースされてから割と早い段階で、実例としてサンプルになっ...
続きを読む